妊娠中の方や産後の方もセッションのゴールは他のセッションと同じで、からだのバランスを整えることです。 しかし、妊娠中の方にはより優しいタッチで行い母体が安らげること、胎児がセッションを受けることに抵抗が無いかもセッションの進行にはとても重要です。(母体や胎児の気分や様子でセッションをお休みすることも大切です。)
産後間もない頃は、大きく開いた骨盤が戻ろうと動いている最中でもあり軟らかい時期でもあります。骨盤の左右でずれがある場合、左右のバランス良く元に戻れるように骨盤周りにワークをしてずれを作る原因や癖を変えていきます。ずれが無ければ、元に戻ろうと動いている骨盤に多すぎるワークはせず、骨盤に負担がかかっていないか周りのバランスにも注意を向けていきます。産後はからだをリセットするためにも良い時期です。
もっと大切なのは、授乳や抱っこなどで、それまでのからだの使い方が大きく変化するので、新たなからだの使い方(座り方や立ち方)です。新たに環境と共に、新たなからだの使い方や学ぶ、新たな感覚を得る時間を十分に取ります。
ロルファー:にいつ ゆきこ
産後、肩コリや腰痛がひどくなり、からだの歪みを感じることがよくあるそうです。
「産後はからだを整えるのに良い時期」と友人から聞き、一時的にからだを楽にするのではなく、根本からからだの歪みを取り、産出産前よりからだの調子を良くしたいとお越しくださいました。
妊娠中は「出産に向けて」いろいろ気遣われる方もたくさんいらっしゃいます。でも、産後も同じくらい、いえそれ以上に身体を気遣ってあげる時です。出産で女性は人生の中で一番大きく骨盤が開く時です。授乳でオキシトシンというホルモンが出て、骨盤が閉じていきます。その骨盤が戻ろうとしている時、左右どちらかだけ負担を掛けるような身体の使い方をすれば骨盤の閉じ方はアンバランスになります。また赤ちゃん中心の今までとは全く違ったからだの使い方になり、産後に身体が緊張している方はとても多いです。まず、骨盤がきちんと戻れるように、そしてお母さんに負担の少ない身体の使い方を学んでいただくことで、長い育児期間を少しでも快適に暮らせるようにお手伝いをさせていただきます
妊娠中の方や産後の方もセッションのゴールは他のセッションと同じで、からだのバランスを整えることです。 しかし、妊娠中の方にはより優しいタッチで行い母体が安らげること、胎児がセッションを受けることに抵抗が無いかもセッションの進行にはとても重要です。(母体や胎児の気分や様子でセッションをお休みすることも大切です。)
産後間もない頃は、大きく開いた骨盤が戻ろうと動いている最中でもあり軟らかい時期でもあります。骨盤の左右でずれがある場合、左右のバランス良く元に戻れるように骨盤周りにワークをしてずれを作る原因や癖を変えていきます。ずれが無ければ、元に戻ろうと動いている骨盤に多すぎるワークはせず、骨盤に負担がかかっていないか周りのバランスにも注意を向けていきます。産後はからだをリセットするためにも良い時期です。
もっと大切なのは、授乳や抱っこなどで、それまでのからだの使い方が大きく変化するので、新たなからだの使い方(座り方や立ち方)です。新たに環境と共に、新たなからだの使い方や学ぶ、新たな感覚を得る時間を十分に取ります。
まず深呼吸をしていただくと、「あ~、意識して呼吸をするなんて忘れていました」とおしゃっていました。自分の身体よりも子供の状態にばかり意識がいく育児中は、お母さん自身が感じているよりも、ずっと身体を酷使しています。そして呼吸が浅くなっている方が多いのも現状です。Rさんも「お腹に入ってくる感じがまったくないです」とおっしゃっていました。
呼吸を通じて手脚の先までの感覚を広げる事、そして無意識に力が入っている肩や胸を脱力出来ることが大切です。呼吸が浅いと、ゆったりと子供と向き合う事が難しくなります。そして力が入りやすくなり、子供を抱っこする時に「身体全体で包む」のではなく「腕に力を入れて」支えてしまいやすくなります。また授乳や抱っこで背中を丸める姿勢をする時間が長くなると、横隔膜が圧迫されて呼吸が制限されます。胸郭や肩関節が左右に楽に拡がれるように筋膜を伸ばして、横隔膜の腱の緊張を取り除きました。すると途端にお腹が大きく呼吸に合わせて動き始めました。そのまま呼吸の動きをお腹だけに留めず、呼吸の波動を筋膜に繋げながら脚やつま先にゆっくりと広げていきました。Rさんは「あぁ、からだが水の様にベッドに沈んでいます」とおっしゃっていました。久しぶりに身体の「力を抜く」感覚が得られた様で「こんなに力が入っていたのですね」ともおっしゃっていました。
立っている時に上半身が後ろに沿っている傾向がありました。ご本人も「かかとに体重が乗っている」とおっしゃっていました。
これは、子供を抱っこする時に、子供の体重を上半身でバランスを取ろうとするとこの姿勢になることが多いからです。腰で子供と自分の上半身の重さを受け止めてしまい、上半身にばかり力が入ります。この姿勢では肩や腕ばかりが疲れてしまい、腰にも負担がかかります。もっと足元の安定と感覚がつかめられる様に「土台」となるひざ下の機能を引き出す必要があります。
腰から、かかとまでの繋がりを持たせるために、ひざ下の骨間膜とヒラメ筋を弛めました。また屈伸をしたときに、足の小指が持ちあがるため、足のアーチを形成しやすいように、立方骨を中心に各骨に微細な動きを持たせることで足首と足裏の感覚を柔らかくすることが出来ました。施術の後にイスに座った状態から、足全体に体重を感じながら、ハムストリングを機能させる立ち方を学んでいただきました。新たな立ち方が出来た時に腰に力を入れることなく、からだを固めずに立ち上がれるようになりました。Rさんは「立つってこんなに楽なのですか?」と驚いた表情をされていました。
両手を大きく開いて上に上げてもらうと、肩も上がり、首の脇に緊張がありました。
腕を動かす際、首や肩の筋肉を使っているからです。本来、腕は肩甲骨から動き始めます。また、授乳や抱っこなどで、前かがみの姿勢が長くなり、普段の使い方から背中や脇の筋膜が前に移動していることも原因です。
脇や背中の筋膜が本来あるべき位置で働けるように筋膜の癒着を取り、肩甲骨も背中で動きやすくなるように、肩甲骨の周りと裏の筋膜に縮みをゆるめました。最後に、肩の力を抜いたまま、肩甲骨から腕を動かす動きを学んでいただきました。Rさんは「こんな腕の使い方は初めて。肩がとても軟らかく感じる」とおっしゃっていました。
歩行時に骨盤が左側に大きく揺れます。骨盤の横揺れに左右差があります。これは、左脚は軸が外側にあるため、左脚に重心がかかった時に脚の外側でからだ全体を支えようと軸移動しているからです。お子さんを抱っこしている時に、左脚重心で立っていることが多いことに気がつかれました。また、Rさんはこの時にひざに痛みを抱えていました。
脚の内側で軸を感じられる様に、かかとがまっすぐに立つことが出来るように後脛骨筋をゆるめ、ひざ下内側のねじれを取るためにふくらはぎ内側の癒着をゆっくりとかかの動きに合わせてはがしていきます。脚の内側にサポートが出来、軸を感じやすくなったところで、足で壁を踏み込みながら、足裏から伝わる抵抗感を脚の内側、内転筋と骨盤底に繋げました。セッション後歩行では、骨盤がゆったりと左右に揺れ始め、膝の痛みも軽減していました。「ずっと左の骨盤が前に出ている感じがしていたのが、無くなりました」とおっしゃっていました。
「第4セッション後、歩行がだいぶ安定してきたが、子どもを抱っこしている時はぐらつく感じがする」とコメントを頂きました。歩行時に骨盤も動き始めて、脚の動きが大きくなりましたが、上半身の伸びがそれに追いついていません。特に授乳など、乳児の育児中は上半身をつい丸める姿勢が多くなります。その為に恥骨周りの筋膜が縮み、上半身の前側に制限が生まれています。また胸の少し下に横に線が入っていました。
みぞおちから恥骨まで筋膜が縦につながっている腹直筋をゆるめ、骨盤の後傾を直します。また同じく恥骨の両ぎわを縦断している大腰筋も固くなって、伸びにくくなっていたので、筋膜に伸びを引き出しました。みぞおちから恥骨までの筋膜が広がったことで、上半身の前側が開いてきたように見えました。すると、セッション前には胸の下にあった線も消えていました。いままでの姿勢でお腹を潰してしまっていた事が分かります。
セッション後は上半身が起きてきました。Rさんご自身も「上半身がすっと楽に伸びてきた。抱っこをしても左右にぶれない」とおっしゃっていました。
Rさんは左脚が外に向いていることを以前から気にされていました。
脚を肩幅に開いて、重心を左右交互に乗せてもらうと、左脚には乗りにくいようです。骨盤の中心の仙骨と呼ばれる骨と骨盤上部(腸骨)の骨が重なる部分を触れると、関節の動きが右の骨盤の方が大きいです。また、うつ伏せで寝てかかとを軽く引くと、左脚の筋膜はスムーズに動きませんでした。
かかとから、脚の中心を通って仙骨までの筋膜のつながりがどこかで遮断されています。張りの強い筋膜が左脚の外側があるためです。無駄な緊張を手放してもらう事で、中に埋もれている脚の中心軸を引き出そうと思います。
まず、うつ伏せで寝ていただき、身体の緊張を解ける様に全身を軽く触れていきます。それでも、緊張がある箇所はRさん自身には力を抜いているつもりだけれど、無意識に力が入ってしまう箇所です。その筋膜にゆっくり圧を加えながら伸ばして、本当に緊張の無い筋膜の状態を身体と脳に感じてもらいます。左脚のみ終えた時Rさんの脚は左脚が右に比べ、柔らかくそして長くなっていました。
両足を終えて、仙骨と脚との本来のつながりを引き出しました。すると、立った時のRさんの脚は力むことなくとてもしっかりとしていました。Rさんも「歩くときに両膝が前に出しやすくなった」とおっしゃっていました。
胸から下の緊張がだいぶ抜けてきた分、首や肩の緊張が目立つようになりました。両手を真横より後ろに大きく広げていただくと、両腕の表面と中心が引っぱられる感覚があるそうです。そのまま顔をどちらかに倒していただこうとすると、首の筋膜が引っぱられてあまり倒すことが出来ません。首の横にある斜角筋の筋膜と腕の筋膜がともに短くなっている為です。お子さんを抱っこする時に腕だけでなく、首や肩も緊張させているためです。本来の首の長さと柔らかさを引き出し、授乳で丸めがちな背骨の上部にも本来のカーブを戻していきます。
肩関節から腕の内側の筋膜をゆっくり伸ばし、その後、胸周りと鎖骨下の筋膜をゆるめて授乳や抱っこのパターンが強く残っている胸周りを大きくゆったり広げられる様にしました。すると、肩甲骨が下に降りやすくなり、背骨の上部の丸まりが減り、背中をゆったりとベッドに委ねられる様になりました。Rさんも「こんなに身体の力を抜いて横たわれたのは久しぶり」とおっしゃっていました。そして、首の横と肩をつなぐようにある斜角筋の筋膜をゆるめ、首に十分な長さを引き出しました。それまで、肩を軽くゆらすと上半身全体が固まりの様に動いていましたが、斜角筋をゆるめると、首から肩、上半身が水面の様にやわらかく揺れ始めました。セッション後は「首が柔らかくなって、首の横の風通りが良くなったみたい」とおっしゃっていました。
骨盤を前に押し出すように、歩行されます。立っている時もふとそのような姿勢をされることがあります。赤ちゃんを抱っこしてもらうと、赤ちゃんの重さで前に傾かないように、上半身を後ろに反り、その反動で骨盤を前に押し出していました。赤ちゃんをご自身の身体の前後バランスを変えて支えていらっしゃるようです。お尻側からぐっと腰に前方向の力が加わって、歩行時に骨盤の動きに少し制限が見られました。
歩行の動きが骨盤で止まらず、スムーズに通り抜けられる様に、仙腸関節の動きを引き出しました
骨盤は左右の骨盤と真ん中にある仙骨という3つ部分があります。脚が左右別に動く様に骨盤も左右別の動きが出来ると、歩行の動きに合わせて骨盤がまた腹横筋を感じやすいバランスを探してもらい、腰に寄りかかる姿勢ではなく、身体の中心で立つ感覚を得てもらいました。Rさんは「すっと上に背が伸びていく感じがする」とおっしゃっていました。
最近、頭上への方向性を意識するようになったら、腹部の安定を感じやすくなったそうです。今回は仰向けで寝た状態からひざを引き寄せてもらうと、左脚を動かそうとしたときだけ、わずかに背中が持ち上がります。
左脚と右肩のコーディネーションが強く、お互いをぎゅっと縮めながら力を入れて動かしている事が、分かりました。これはプリムーブメントという動きの前のかすかな身体のパターンです。この動きが起きないように、右肩や背中で床の感覚をしっかりと捕えたまま、左の太もものわずかな動きをゆっくりと誘導する事で、無意識に行っていたプリムーブメントをしないようにしてもらいました。セッション後は「今まで、すっごくフラフラ歩いていたんですね。まっすぐ歩く感覚が分かりました」とおっしゃっていました。
気がつけば、ほとんど肩コリや腰痛を感じることが無くなっていたとコメントを頂きました。ただ、ここ最近背骨の下の方の左側に痛みを感じることがたまにあるとおっしゃっていました。いろいろな角度に身体を動かしもらいました。胸を出して、顔を下にむけて、腰を沿って、首をひねると、その痛みが出やすいようです。
このポーズは沿い乳をしている時の格好です。授乳中はつい乳児の飲みやすさに意識をとらわれて、自分自身の身体の緊張や意識に気がいかない方は多いです。沿い乳をする時のクッションの置き方や、腰の位置を学んでいただきました。なぜ痛みがあるのか、その原因が分からないとその痛みといつまで付き合っていくのか不安になります。でもRさんは、「自分の身体の使い方や姿勢が痛みを引き出していたと分かれば、ただその姿勢をやめれば良いだけなんだと気付いてからは、すごく楽になりました。」とおっしゃっていました。
育児は長期戦です。抱っこ・授乳などは毎日何度と繰り返されます。つい赤ちゃんの状態を優先して、自分の身体に力が入っていることに気がつかないことも。そのうちに腱鞘炎や肩こり、腰痛、疲労感に襲われることも少なくありません。ロルフィングは受けるだけの一方的なぜひ、自分も楽にいられる抱っこや授乳の姿勢を探すことで、少しでも楽な育児をしてほしいと願ってやみません。